お知らせ研究発表
本学教員が新たな足部骨配列の評価法を開発
精度、再現性、コスト、扱い易さなどに優れた手法として期待
本学理学療法学科の丸山陽介教授と作業療法学科の佐々木博之教授は兵庫医科大学先端医学研究所、帝京平成大学健康医療スポーツ学部および医療法人田島厚生会神谷病院との共同研究で、数理解剖学に基づいた新たな足部骨配列の評価法を開発しました。本法は優れた精度および再現性をもち、コストや扱い易さなどに優れた手法として期待されます。
本研究成果は、本学の丸山教授と佐々木教授を筆頭著者および責任著者として2月6日に国際科学誌Plos Oneオンライン版に掲載されました。
【研究背景】
足部変形を持つ患者の足部アーチの評価法として、臨床場面では主に体表測定法を用いた内側縦アーチの評価法と、レントゲン画像を用いた評価法などが用いられてきました。これらの方法は広く使用されていますが、評価法間の誤差や評価者の巧拙による誤差が生じる問題があると考えられています。
【研究成果】
本研究では、レントゲン画像に対して二次元高速フーリエ変換(2D-FFT)を用いた数理解剖学的解析法を利用して、足の骨の配置に対する新しい幾何学的な形状評価法を開発しました。足の骨の側面X線写真は、米国National Institutes of Healthが提供するImageJ2によって解析されました。2D-FFT画像は、正常な足、低アーチおよび高アーチのそれぞれにおいて、第一および第三象限で低周波から高周波にわたる特徴的なパワースペクトルを示していることが明らかとなりました。さらに逆2D-FFTによる画像解析により、この特徴的なパワースペクトルは中足骨および足根骨の骨配置状態を反映して、足部変形疾患の診断に有効なことが確認されました。
【社会的・学術的なポイント】
この解析方法では、基準となるのは角度測定のみであるため、手作業で測定を繰り返す従来の解析方法に比べ、介入はほとんど必要ないため、誤差は極めて小さいと考えられます。現在、他の評価方法との関係や、今回提案した評価方法の評価者間・評価者内の信頼性・妥当性を明らかにするための研究を進めています。この新たな評価法により、異常な足の骨の整列を評価するための新しいレントゲン画像評価法を確立し、さらに足部変形疾患患者の予後を予測するのに役立つ可能性があります。