教員コラム
【教員リレーコラム】第24回 田中直樹「日常生活に役立つ運動生理学」
理学療法学科の教員をしております田中直樹です。
私は大学で「運動生理学」の講義を担当しています。
運動生理学は、私たちが運動を行ったとき身体がどのように反応し、適応するかを科学的に理解する学問です。
運動生理学では、栄養が運動中にどのように利用されるかなどのエネルギー代謝、筋肉の構造と機能、運動時の心臓血管系の反応、運動中の呼吸器系の働き、運動に関与する神経や運動学習、運動に関与するホルモンと内分泌系、トレーニングの効果と適応などを学習します。
運動生理学はリハビリテーションだけでなく、日常生活にも役立つ学問です。
私が日常生活で運動生理学の知識を役立てている例を2つ紹介します。
1.自身の健康維持への利用
健康維持のための持久力トレーニングでは、怪我せず最大限のトレーニング効果を得られるように、運動生理学の知識を基に、運動強度やトレーニング時間を設定し、筋力トレーニングでは自身の最大筋力を測定し、筋肥大が期待できる運動負荷を設定してトレーニングに励んでいます。
2.スポーツのパフォーマンス向上を目的としたトレーニング方法への利用
写真は運動を調整する能力である敏捷性や協調性の向上を目的としたラダートレーニングです。このトレーニングは身体の素早い動き、素早い方向転換能力、神経や筋の協調的な動きが求められます。ただ単に足を速く動かすだけではラダーは上手くできません。上手く行うためには足の動きだけではなく、腕、足、体幹の全身を協調的に動かす必要があります。そのため、運動生理学の知識を基に、協調的な動きができるようになるためにはどこに、どのタイミングで力をいれ、どのような姿勢になればいいのかなどを考えトレーニングを行っています。
この他、姿勢の改善や効率的なダイエット方法の作成、日々蓄積する疲労のリカバリーなどにも役立てることができます。
このコラムを読んで運動生理学に興味を持った方、ぜひ一緒に学んでみませんか?
執筆者プロフィール
田中 直樹(NAOKI TANAKA)
理学療法学科 講師
専門領域:リハビリテーション科学、福祉工学