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【教員リレーコラム】 特別版「現役IT社長(作業療法士)による特別講義レポート」

共生社会の実現をリードする「実務リーダー」の育成を目指す東京保健医療専門職大学(以下、TPU)では、第一線で活躍されている現役のリーダーを招いての特別講義を開催しています。

TPUは、専門職大学ならではの科目群「展開科目」において2つの柱を設けています。一つは専門分野の視野を拡げる「隣接他分野」、もう一つは組織運営に必要な素養を身に付ける「組織の経営・マネジメント」です。今回は後者の学びの中で、グループディスカッションを通して「事業プラン」を作り上げる授業(4年生対象の選択科目「総合事業開発」)の一環として特別講義を開催しました。

講師として、株式会社Rehab for JAPAN代表取締役CEOの大久保亮(おおくぼ りょう)様をお招きしました。大久保様は、作業療法士の資格を取得後、通所介護事業所や訪問看護ステーションにて在宅リハビリテーションに従事され、「要介護者、介護現場で働く人、地域住民まで、介護に関わるすべての人が安心していきいきと活躍し続けられる世界の実現」を掲げIT企業を2016年に起業されました。

 

リハビリテーション業務にかかわられる中、デイサービス経営に興味を持たれ、その実現に向け大学院で経営学や統計学等を学ばれました。「高齢社会×IT」というテーマで修士論文を書く過程でITの突破力に魅了され、「日本で誰もやったことのないチャレンジがしたい」「その技術を通じ社会課題を解決したい」と思ったことが起業のきっかけだそうです。

大久保様の信念は「病気をしていても、障がいがあっても、一人一人の目標や目的、QOL(Quality of Life:生活の質)を中心に据えたリハビリテーションこそが本質的であり、自己選択・自己決定がないリハビリは機能訓練指導員の自己満足であり、無意味」とのことで、TPUの建学の精神と相通じるものがあります。

今回の講義の中で、起業を考える際、「どのように社会を良くしたいか」という社会における存在価値を明確に掲げることの重要性、そして、常に変化する社会の流れ(特に医療分野であれば国の制度の変更等)にアンテナを張り最新情報をインプットすることの大切さ等を、ご自身の体験談を交えてお話し頂きました。

TPUの学生の多くが起業を目指している訳ではありませんが、事業プランを策定するプロセスを通して、将来所属する組織(医療機関等)において経営環境の変化に合わせて取り組む新事業の開発に貢献できる人材になることを期待しています。

とかく変化の激しい社会で活躍し続けられる人材になるためには、専門分野(理学療法、作業療法)の知識・ノウハウにとどまらず、様々な学びを通して、将来の選択肢を増やすことが必要ではないでしょうか。TPUはそのための実践的な教育の場を積極的に設けて行きたいと考えております。

株式会社Rehab for JAPANホームページ

文責: 作業療法学科 教授 宮田雅之