教員コラム
【教員リレーコラム】第30回 猪股英輔「理学療法士・作業療法士免許取得後に見渡す景色」
今回のテーマは、理学療法士・作業療法士免許取得後についてです。
リハビリテーション職種には、医師のような研修医制度はなく、就職した病院施設で新人教育研修を受けて間もなく、患者様を担当して臨床活動が始まります。その際、職場の上司や先輩から直接指導を受けるOJTはとても有効ですが、自己成長のためには自ら新しい知識や技能を学ぶ姿勢も重要になります。
そこで頼りになるのが職能団体です。理学療法士には日本理学療法士協会、作業療法士には日本作業療法士協会があり、さらに都道府県単位の組織があります。入会すると、専門コース認定や生涯教育研修制度、事故補償の保険加入、学会参加や機関誌等で業界のトピックス・トレンド情報を入手することができます。さらに協会の活動に加われば、職場以外の仲間とつながるなど、たくさんのメリットがあります。国家試験合格の暁には、ぜひ入会をお勧めします。
作業療法士の私は、東京都作業療法士会の地域づくり共創部で活動しています。目下の課題は、東京都の全62区市町村に「自治体作業療法士」を配置することです。目的は、住民や行政が求める地域支援事業や介護予防事業に迅速に応えるためです。そのため部会では、地域づくりを担える人材育成研修カリキュラムを構築し、地域支援事業等に参画する仲間を増やしていきたいと考えています。
免許取得後は、職能団体に所属して興味ある実践・研究活動に携わることで、成長のチャンスが訪れるでしょう。登山にたとえれば、免許取得という山頂を完登すれば、今まで見えなかったその先に、登りたいと思う山々が遙か彼方まで連なる景色を見渡せるということです。理学療法士・作業療法士は、自分しだいで未知の可能性を創造できる仕事だと確信しています。
執筆者プロフィール
猪股 英輔(EISUKE INOMATA)
作業療法学科 教授
専門領域:高齢期の作業療法、認知症高齢者に対する作業療法、地域リハビリテーション