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【教員リレーコラム】 特別版 :宮田雅之「『推し活』から始める『ウェルビーング(Well-being)』 ~推し活の三段活用~」

作業療法学科の宮田です。経営やマーケティングなど「展開科目」の「組織の経営・マネジメント」分野を担当しています。

●推し活とは

皆さんは、「推し活」をしていますか?

「推し活」とは、実用日本語表現辞典によると「『推し(自分にとってのイチオシの、アイドルのメンバーやアニメのキャラクターなど)』に情熱を注ぐ活動の総称」を指します。

博報堂等が2024年2月に発表した調査「OSHINOMICS REPORT」によると、『推し』がいると回答した人は全体の34.6%。10代に絞ると、男性の57.0%、女性の83.3%が『推し』がいると回答しています。若者層にとって「推し活」が身近であることがうかがえます。

また、読売新聞(2024年1月1日)に掲載された野村総合研究所 生活DX・データ研究室長へのインタビュー記事によると、「幸福度を10点満点で自己評価してもらうと、『推し』がない人よりも『推し』がある人の方が、幸福だと感じている比率が高い」と分析しています。『推し』の存在が幸せにプラスの影響を及ぼしていることがうかがえます。

さらに、産経新聞グループの健活手帖(2024年1月22日)に掲載された東北大学 医学部教授へのインタビュー記事によると、脳の健康のために必要な要素は、「運動、趣味・好奇心、コミュニケーション、睡眠、食事、そして主観的幸福感(日々、ささやかながら楽しいな、幸せだなと感じること)」とした上で、「推し活はそれら(の要素)を複数カバーできる効率的な行動である」と解説されています。

●推し活三弾活用

これらの調査やインタビューの内容を総括すると、

という道筋が見えてきます。筆者はこれを「推し活の三段活用」と呼んでいます。

「推し活」を起点に、個人の心身と社会が共によい状態になる、すなわちウェルビーング(Well-being)につながる一連の流れは、東京保健医療専門職大学が教育の目的に掲げる「多様な生活者のQOLの維持・向上」「共生社会の実現」と相通ずるテーマです。筆者の担当する授業の中で「推し活」に関する話題を積極的に取り上げて行きたいと考えています。

●推し活の抱える課題

良いこと尽くめのように見える「推し活」ですが課題を抱えています。それは、年齢が上がるほど「推し活」が広がっていないことです。10代を中心とした若者層は『推し』がいる割合が高く、「推し活」の土壌ができていると言えましょう。しかし、経済力・購買力が高く社会のけん引役である40~50代は『推し』がいる人の割合が若者層の半分程度にとどまっています。逆説的に言えば、まだまだ市場としての伸び代があるのです。

筆者自身、幸せな社会の実現に向け、当課題の解決策を「マーケティング」の視点で研究して行きたいと考えています。学生の皆さんと意見交換をしながら、「推し活」人口拡大に向けて新しい切り口を見出して行きたいと思っています。教員と学生の皆さんは上下の関係ではなく、目標を共有し、共に学び高め合う同士(パートナー)です。

【参考】宮田雅之 幸福度と「推し活」についての一考察~「推し活」人口の拡大に向けた仮説~(敬心・研究ジャーナル 第8巻 第2号,45~53ページ)

https://keishin-group.org/app/upload/documents/keishinjournal0802/6.pdf

●東京保健医療専門職大学はユニークな学びの場

一般の大学では学べない、ユニークなカリキュラムを擁する東京保健医療専門職大学の扉をノックしてみませんか?

医療専門職としての学びに加え、専門職大学ならではの科目群「展開科目」において、専門分野の視野を拡げる「隣接他分野」と組織や社会を動かすために必要な「組織の経営・マネジメント」の素養を身に付けることができます。

お会いできる日を楽しみにしています。

執筆者プロフィール

宮田 雅之(MASAYUKI MIYATA)

作業療法学科 教授

専門領域:経営戦略、マーケティング戦略、リーダーシップ論

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