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【教員リレーコラム】第41回 平野夏子「音楽療法の現場」

こんにちは!
音楽療法士の平野です。私は、作業療法学科で実務家教員として展開科目を担当しています。
今回は、私の音楽療法の現場についてご紹介します。

私は毎週火曜日に、認知症病棟に出勤します。そこで、3人の作業療法士と一緒に、音楽療法を実施しています。私はおよそ45分間の音楽プログラムを計画し、ピアノと歌を担当します。作業療法士は、プログラムの司会進行役を担当し、患者様に個別に話しかけたり、活動を促したり、一緒に歌ったり、踊ったり、和太鼓も叩いてくれます。

ご自宅から入院されて間もない患者様は、混乱されていることが多く、強い不安を抱えていらっしゃいます。音楽療法の和やかで楽しい雰囲気に触れることで「ここは安心な場所」と感じていただき、入院生活に少しでも早く慣れていただきたいと思いながらやっています。 

見学に来た方によく驚かれるのですが、椅子や車椅子だけでなくベッドごと参加している患者様もいます。長く入院されていて、徐々に体力が落ち反応が乏しくなってきても、最期までその人らしく好きな音楽を楽しめるように、看護スタッフと作業療法士がその日の体調をチェックし、参加の可否を決めます。音楽は、言葉での反応が乏しくなった方の反応を引き出しやすいツールなので「あ、◯◯さん、笑ってる!」「少し太鼓が叩けたね!すごいすごい!」なんて、介護スタッフや看護スタッフが大喜びしている様子を見ることも、私達の密かな楽しみです。

私は週に1回しか行かないのですが、最近、作業療法士が、私のいない日にも音楽を使った作業療法の活動をするようになりました。おすすめの昭和歌謡や、お年寄りが若者だった頃に流行っていた洋楽などについて情報提供すると喜んでくれます。これは、私にとって、とてもうれしい変化です。

作業療法だけでなく、理学療法でも、歩行の訓練や体操に音楽を取り入れることができますし、リハビリ中のBGMの選び方にも音楽療法の理論を応用することが可能です。 もっと気軽に、音楽をリハビリ現場に取り入れてもらえるようになったら嬉しいなあ!

執筆者プロフィール

平野 夏子(NATSUKO HIRANO)

東京保健医療専門職大学 作業療法学科 講師

日本音楽療法学会認定音楽療法士

専門領域:音楽療法、音楽学

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