教員コラム
【教員リレーコラム】第14回 佐々木清子「センサリーフレンドリーって知ってますか」
センサリーフレンドリーとは、「感覚にやさしい」という意味です。
通常の上映よりも客席の明かりを明るく、音も通常より小さめで流します。
約40年前、私が作業療法士になりたての頃、
感覚統合療法に出会い、感覚に過敏なお子さんがいることを知りました。
作業療法士は、子どもの感覚特性を知って、援助できる専門家だと思います。
このコラムを見ている人たちに、「感じ方の違いで悩んでいる人がいること、自分が知らない世界があること」を知ってもらいたいと思います。(感覚の過敏は障害ではなく、個性です。誰にもあること、誤解のないように)
子育ては、大変です。
2才になれば立派な一人の人間。
自己主張もし、個性もはっきりします。
なかなか、手こずります。
「今は、その発達段階だから・・」と思うことや、子どもの声に耳を傾けると意外にうまくいくことが多いのです。
でも、感覚過敏があると、子どもにとって嫌なことが多いので、イライラしがちだったり、急に泣いたり、大人を困らせることも多くなります。偏食、かんしゃく、睡眠のみだれ、など・・・大変です。
でも、「感覚の過敏があって大変なんだ」「今、何か音がしたのかしら」、周りでは気づかないことにも、気づこうとできれば、泣いているこどもを抱き上げ、「大変なんだね」と声をかけることができます。すぐにはおさまらないけど・・・だんだんと落ち着いてきます。お母さんもお父さんも・・・
粘土を触るのが苦手なお子さんに出会ったとき、
作業療法士は、何だったら触れるか、きれいな色があれば・・、少しなら・・あの子が好きなままごと遊びなら・・とお子さんが興味を持つ遊びを考え一緒に遊び、いつの間にか、その子は、笑顔で、粘土で遊べるようになっていきます。
ブランコが苦手な子、運動が嫌いな子も少しずつ・・・
感覚に優しいとは、作業療法そのもののように思えます。
感覚の過敏なお子さん、感じにくいお子さんのことをたくさんの人に、知ってもらうことで、子どもはたくさんの優しさにふれることができます。
私は、作業療法の経験から表に見える部分だけでなく、隠れた根元を見ることを学びました。
(きれいな花も土作りから)
執筆者プロフィール
佐々木 清子(KIYOKO SASAKI)
作業療法学科 教授
専門領域:発達障害領域の作業療法、摂食嚥下の作業療法、特別支援教育の作業療法