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【教員リレーコラム】第18回 五嶋裕子「医療・医学における統計学」

理学療法士が統計学の知識を備える必要がある理由

私は理学療法士ですが、大学では「統計学」の講義を担当しています。

理学療法士がなぜ統計学を教えているのか、疑問に思う人もいるかもしれません。

医療を行う上で、知識や経験に基づいた判断はもちろん重要ですが、それだけで判断することは危険です。臨床場面で多くの経験を客観的な形(データ)として蓄積し、それらの結果から統計解析を行うことで、より適切な判断ができるようになります。

一方、数値的な判断のみでも危険ですので、統計解析の結果を治療に役立てるためには、その背景にある臨床的な問題を加味しなくてはいけないため、専門家としての知識も必要です。

以上のことから、専門知識や経験を備えた理学療法士が統計の知識を備えることで、より臨床場面で適切な判断ができるようになります。

統計学で問題を解決するための公式―PPDACサイクル

 

統計学で問題解決するために「問題を設定する(Problem)」「計画を立てる(Plan)」「データを集める(Data)」「データを分析する(Analysis)」「結論を出す(Conclusion)」の5段階の流れで考えるとよいでしょう。この方法を5つの頭文字を取ってPPDACサイクルと呼びます。

統計解析を行う際は、まず目的をはっきりさせ(Problem)、具体的にどう調べるか計画し(Plan)、その計画に沿ったデータを集めます(Data)。そして集めたデータの分布を整理し,平均値や中央値等どのような傾向か求めます(Analysis)。それらの結果を分析したら、結論を考えます(Conclusion)が、その際に最初の目的に対応させて判断することが重要です。
また得られた結論から新たな疑問が出たり、解決できないときには最初のProblemに戻ります。

このようにサイクルを回すことでよりよい結論を得ることができるようになります。

執筆者プロフィール

五嶋 裕子(YUUKO GOSHIMA)

理学療法学科 講師

専門領域:学校教育、統計・研究法、運動器疾患

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